なかの学び場ステーションりんくる中野【音訳ボランティア】

サークル紹介

「音訳(おんやく)」をご存じですか?

“りんくる中野”は・・・

「耳で読むこと」を音訳で支援します!

2011年、特定非営利活動法人中野区視覚障害者福祉協会(以下、中視協)が、視覚障害者への情報提供のデジタル化を推進するために、中野区で活動している音訳者(音訳、については後述します)に協力を呼びかけ “りんくる中野”というグループを立ち上げました。“りんくる”には、リンクする、そして輪になるという意味が込められています。

現在、りんくる中野では「声のなかの区報」をはじめ、中野区の定期、不定期広報誌の音声版CDを製作しています。その他、団体や個人からの依頼による書籍や総会資料、生活に密着した電気機器のマニュアルなどを、音声版CDやデータ、あるいはプレーンテキストデータとして提供しています。

2025年6月には国立国会図書館と覚書を締結。りんくる中野製作のデータを提供することで、サピエ図書館の会員を含む当事者の方々に広くご利用いただけるようになりました。

また、音訳者を常時募集。基本的には個人対応で、応募者の経験により研修内容を変更しています。コロナ禍にあってはリモートも活用しましたが、現在は感染対策を講じた上で、原則として対面での研修を実施しています。また、在籍中のスタッフの研修も、外部講師の招聘を含め、年3~4回実施しています。

りんくる中野の活動について詳しくは、「りんくる中野活動報告」をご覧ください。

<音訳って?>

音訳とは、障害によって「視覚」から情報を得ることが難しい方(読書困難者)のために、文字を声に出して読み、目で見る情報を耳で聞く情報に変えていくことです。文字だけでなく、写真やイラスト、グラフや表なども説明文を作成して読んでいきます。

声に出して文字を読む、ことには「朗読」もありますが、朗読は芸術としての側面がある一方、音訳は情報提供と位置付けられます。従って、見て得る情報量と聞いて得る情報量に差がないよう、原本になるべく忠実に、すべての情報を音声化することを目指して作業をします。

・録音図書製作の手順

  1. パソコンにマイクなどを接続し、録音図書製作ソフトを使って録音します。
  2. 録音図書製作ソフトを利用し、録音した音声データにページをつけたり、章や見出しごとに検索もできるように編集します。これを「デイジー(DAISY)編集」といいます。

*DAISYとは Digital Accessible Information Systemの略で、日本語では「アクセシブルな情報システム」と訳されています。デジタル録音図書の国際標準規格で、これにより録音図書はさまざまな国と相互利用ができます。

3. 完成したデータをCDやメモリーカードなどにコピーして、利用者の方々にお届けします。

*デイジー編集された音声データを聞くには専用の再生機が必要ですが、りんくる中野では専用の再生機をお持ちでない方にもお聞きいただけるよう、音楽CDの再生機でも聞けるCD版も製作しています。

・「サピエ」関連の活動

2017年、中視協は「著作権法第37条第3項に係る文化庁長官の指定団体」として認定を受け、サピエ(*)に団体登録をして、中視協の会員や、利用登録をしている方々を対象にサピエ図書館よりダウンロードをするサービスを開始しました。そのサービスの窓口をりんくる中野が担当しています。2023年度は2名の方に37タイトル、2024年度は2名の方に11タイトルを提供しました。

また、サピエが毎年実施する研修会に参加し、利用者へのデータ提供に関するソフト・ハード両面での、タイムリーな情報・指導を得て、製作する各種データの質の向上に役立てています。

なお、りんくる中野の製作物として、デイジー録音雑誌「なずな会メディカルニュース」(新聞4紙から医療、健康、障害、生活に関する記事を抜粋し、90分に編集。月2回発行。りんくる中野の活動の一翼を担う音訳グループであるなずな会が責任製作)を書誌登録し、数か所の点字図書館にもご利用いただいています。

*サピエとは、視覚障害者及び視覚による表現の認識が困難な方々に対して点字、デイジーデータ(音声デイジーデータは約13万タイトル以上)をはじめ、暮らしに密着した地域・生活情報などさまざまな情報を提供するWeb上のネットワークです。日本点字図書館がシステムを管理し、全国視覚障害者情報提供施設協会が運営を行い、視覚障害者等の個人登録利用者約21,000人が直接利用しています。また、全国の視覚障害者情報提供施設(点字図書館)や公共図書館、ボランティア団体、大学図書館、視覚特別支援学校など490を超える施設や団体が加盟して、約80,000人以上の視覚障害者、そして情報を必要とする多くの方々への情報サービスを行っています。

・「テキスト化」への取り組み

「テキスト化」とは、活字の資料やPDF形式などの画像データを、テキストデータに変換することをいいます。このテキストデータをパソコンの合成音声ソフトに読み上げさせることにより、視覚障害者や、その他の理由で活字での読書が難しい方も利用できます。

この汎用性の高さ、点字や音声に比べて製作所要時間が短いこと、また、テキストをコピーして利用することができる点などから、学校の教科書や各種教材、論文資料や家庭で必要な取扱説明書など、さまざまなものに対して、テキスト化のニーズがあり、災害時における情報の伝達手段としても期待されています。

りんくる中野では、2023年3月からテキスト化への取り組みを開始。テキストデータの製作・提供実績が豊富な「全国音訳ボランティアネットワーク」からご指導、ご協力をいただき、外国語専門学校ビジネス過程に通うアメリカ人当事者留学生の、日本語教材のテキスト化を開始。2024年3月までに、2年間分のテキスト化データ合計4冊を提供し、2025年3月の専門学校卒業をサポートしました。

今後は、各種防災情報や当事者の生活に密着した情報(例:レストランのメニューやショッピングガイドなど)をテキスト化できるよう、研修を実施していく予定です。

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